イメージ政治の時代――毎日新聞×立命館大「インターネットと政治」共同研究



えらぼーと:2014衆院選 10万人突破 原発「必要ない」56%  政治への感情、6割否定的

 インターネット上で政党・候補者との一致度を測れる「毎日新聞ボートマッチ・えらぼーと 2014衆院選」(http://vote.mainichi.jp/47shuinsen/)の利用者が11日、10万人を突破した。10万人の回答を集計したところ、政治への感情を問われて「イライラする」(37%)、「かなしい」(21%)と否定的な回答をした利用者が6割近くに達した。ネット利用者は原発問題への関心が高い傾向にあるが、いら立ち・悲観層は特に脱原発を求める意見が強い。

 8日までの総ツイート数は1万1570。最も多くつぶやかれたのは「演説」(2869回)。2位以下は「選挙」(2679回)▽「駅」(1887回)−−と続き、街頭演説などの告知が候補者ツイートの中心になっていることがうかがわれる。政策関連の単語は「消費」(429回)が32位、「原発」(403回)が36位に入り、「アベノミクス」(290回)は51位だった。

 原発は日本に必要かについて10万人全体では56%が「必要でない」、36%が「必要」と回答。政治への感情別にみると、いら立ち層は63%、悲観層は72%が「必要でない」だった。「なんとも感じない」という無感情層では「必要」が49%で「必要でない」の39%を上回り、政治の現状を「たのもしい」と感じる層では「必要」が76%に達した。アベノミクスの評価でも同様の傾向が鮮明になった。

 えらぼーとは誰でもネットで利用できるため、選挙の有権者ではない20歳未満も含まれる。政治への関心が比較的高い層が中心とみられるが、いら立ち・悲観層の割合は電話による全国世論調査と同程度となっている。

 戦争放棄を定めた憲法9条の改正については、政治に頼もしさを感じる層は79%が賛成なのに対し、いら立ち層は63%、悲観層は73%が反対と回答。政治の現状に否定的な層には、改憲への警戒感が強いこともうかがわれる。【石戸諭、大隈慎吾】

毎日新聞 2014年12月11日 東京朝刊

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西田亮介(にしだ・りょうすけ)
 
立命館大特別招聘准教授(情報社会論)。1983年生まれ。慶應義塾大大学院政策・メディア研究科修士課程修了。同後期博士課程単位取得退学。同助教、東洋大非常勤講師などを経て現職。著書に『ネット選挙—解禁がもたらす日本社会の変容』(東洋経済新報社)、共編著に『「統治」を創造する』(春秋社)。博士(政策・メディア)。
 

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