2014衆院選:民主党の公約 要旨

毎日新聞 2014年11月25日

 ◆今こそ、流れを変える時。

 ◇アベノミクスからの転換。「厚く、豊かな中間層」を復活させる

1 経済

 「国民生活に十分留意した柔軟な金融政策」「生活の不安を希望に変える人への投資」「未来につながる成長戦略」が経済政策の3本柱。未来への責任を果たすため財政健全化を進める

 行き過ぎた円安対策=補助金交付を通じたガソリン・軽油などの価格高騰対策を講じ、円安によるコスト増大に苦しむ生活者、中小企業、農林水産業者を支援▽経済、財政状況、市場環境を踏まえ、「国民生活に十分留意した柔軟な金融政策」を日銀に求める

 子育て支援、雇用の安定、老後の安心=子育て支援策の抜本的拡充、若い世代への結婚・出産支援策の強化により「希望する人が安心して結婚、出産できる社会」をつくる▽非正規雇用の待遇改善、正規雇用の増大で「若者が将来に希望を抱ける社会」をつくる▽高齢者雇用や地域活動を支援▽社会保障制度の充実・安定化で将来不安を軽減し、「現役世代も高齢者も安心して消費できる社会」をつくる▽介護報酬・障害福祉報酬をプラス改定し、介護職員・障害福祉従事者の賃金を引き上げる▽農業者戸別所得補償制度、6次産業化で農家所得を向上、新規就農者を増やす

 未来につながる成長戦略=グリーン、ライフ、農林水産業、中小企業に政策資源を集中▽地域産業の活性化を図りコンパクトシティーを形成▽研究予算の増額。医薬品・医療機器の審査の迅速化▽NPO税制の維持・拡充など新しい公共を進める

 中小企業支援=ものづくりの技術・技能の伝承、起業・創業・育成支援の体制強化、海外展開支援、中小企業憲章の理念の実践などを中小企業担当相のもとで一元的に推進▽第三者保証の禁止、中小企業支援税制の充実で、中小企業が発展できる環境を整備▽法人実効税率は適切な代替財源が確保できれば引き下げる

 一極集中の是正と分権を進め地方を再生=使いやすい一括交付金を創設し、自治体への権限・財源移譲を推進する「国・地方関係抜本改革推進法」を制定。地域発想の規制改革を推進▽エネルギーの地産地消を進め、地域活性化・雇用創出を実現

 財政健全化を促進=予算を消化できないバラマキ公共事業は見直し、復興や真に必要なインフラ整備を確実に実行▽「財政健全化推進法」制定

 消費税引き上げを延期=アベノミクスによる国民生活の悪化、約束していた社会保障の充実・安定化、議員定数削減が果たされていない状況を踏まえ消費税引き上げは延期▽複数税率だけでなく消費税の還付措置(給付付き税額控除)導入も検討し、低所得者対策を確実に講じる

 ◇一人ひとりを尊重し共に生きる社会をつくる

2 社会保障

 地域の医療・介護体制を拡充=実質的に医療費が削減され医療崩壊の危機が迫っており、必要な医療費を確保し、地域の医療提供体制を立て直す▽介護・福祉現場の人材確保のため介護報酬、障害福祉報酬をプラス改定し、介護職員・障害福祉従事者の賃金を引き上げる▽政権の進める「要支援切り」を見直し、要支援高齢者に専門性の高い介護サービスの提供を目指す

 年金制度改革=国民皆年金を堅持し、高齢者の生活保障を確保できるよう公的年金制度を一元化。最低保障年金を創設▽低年金者への給付確保、被用者年金の適用拡大▽年金積立金の運用は被保険者の利益と確実性を考慮し、株式運用倍増をやめ、堅実に運用

 子育てしやすい社会=待機児童の解消、地域の子ども・子育て支援拡充へ十分な予算を確保。幼保一元化への円滑な移行▽子どもの貧困解消を目指す

 エボラ出血熱、デング熱、新型インフルエンザなど感染症対策を拡充

3 雇用

 労働法制の改悪を阻止し、雇用を安定=労働者派遣法改悪、残業代ゼロ制度(ホワイトカラーエグゼンプション)、解雇の金銭解決制度の導入など労働条件を後退させる労働規制緩和を認めない

 労働条件の底上げ=「同一労働同一賃金推進法」制定。正規・非正規を問わず、すべての労働者の均等・均衡処遇、能力開発の機会を確保▽中小企業支援をしつつ最低賃金を引き上げ

 誰もが心身ともに健康に働ける環境=過労死ゼロを目指す

4 教育

 義務教育で35人以下学級を堅持、拡充▽幼児教育費用の負担軽減、所得制限のない高校無償化制度を目指す。大学など高等教育の授業料減免。返済の必要のない「給付型奨学金」の創設を目指す▽いじめ防止対策推進法の厳正な運用

5 女性・共生

 男女間の待遇格差是正、女性管理職比率の目標設定・公表の義務付け▽ひとり親家庭への支援▽障害者差別解消法の実効性ある運用▽表現の自由を尊重した上で「ヘイトスピーチ対策法」を制定

 ◇地域の声に耳を傾け、ふるさと再生

6 震災復興、福島再生

 「集中復興期間」(5年間)を延長し、復興に向けた施策を強力に進める▽復興庁・復興特区・復興交付金などをいかし、まちづくり、高台移転の促進、雇用創出に取り組む▽子ども・被災者支援法に基づき、健康調査の強化、母子・父子避難者支援、帰還支援を進める▽国の社会的責任を認め、福島の原子力災害からの復興と再生を推進。事故原発の安全確保に万全を期し、汚染水漏れなど廃炉の課題に主導的に取り組む。風評被害対策、除染の徹底、速やかな賠償などで生活再建を迅速に進める▽地震・津波、火山、土砂、風水害、雪害、異常気象などの対策に万全を期す。「命の道づくり」などハード面の整備を行いつつ、ハザードマップ作成やリスク情報開示などソフト面の備えを徹底

7 原発・エネルギー

 福島原発の事故原因解明を進め、避難計画について国の責任を明確にする制度を整備。責任ある避難計画がなければ原発を再稼働すべきではない▽再生可能エネルギーを最大限導入。「分散型エネルギー推進基本法」を制定し、環境に優しいエネルギーの地産地消を進める。電力会社に原則、即時接続保留解除を求める▽省エネルギー法を改正し、省エネ技術の飛躍的な普及▽電力小売市場の全面自由化、送電網の増強、発送電分離など電力システム改革を進め、電力の安定供給を図りつつ、安価な料金、消費者の選択肢を拡大

8 食の安全・安心

 農業者戸別所得補償制度を法制化▽地産地消を促進し、農林水産業を振興▽高いレベルの経済連携を推進▽環太平洋パートナーシップ協定(TPP)は重要5項目の除外、食の安全確保、国民皆保険の堅持などの国益を確保するため、脱退も辞さない厳しい姿勢で臨む。経済連携協定交渉の情報公開を進める

 ◇専守防衛と平和主義を堅持する

9 外交・防衛

 集団的自衛権の行使を容認した閣議決定は立憲主義に反するため撤回を求める▽動的防衛力を強化しつつ、外交安全保障の基軸の日米同盟を深化▽「領域警備法」制定。グレーゾーン事態を含めた日本防衛のため、海上保安庁などの対処能力を向上。自衛隊による切れ目のない危機対処を可能にする▽アジアの安保環境が変化する中、近隣諸国との信頼醸成と関係改善を進め、戦略的な外交を展開▽拉致問題の解決に全力をあげる▽国会など第三者機関による監視を強化するまで特定秘密保護法の施行を延期▽国民主権・基本的人権・平和主義を守り、未来志向の憲法を構想する

10 身を切る改革を断行する

 議員定数削減▽1票の格差是正▽国家公務員総人件費を2割削減

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