緊迫・解散政局:年内総選挙の意向 早期が得策、首相判断

毎日新聞 2012年11月13日 東京朝刊

衆院予算委で石破茂自民党幹事長の質問に答える野田佳彦首相=国会内で2012年11月12日午後、藤井太郎撮影
衆院予算委で石破茂自民党幹事長の質問に答える野田佳彦首相=国会内で2012年11月12日午後、藤井太郎撮影

 野田佳彦首相が年内の衆院解散・総選挙に踏み切る意向なのは、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉への参加や、野党が反対している衆院比例定数の削減などを争点に、早期の選挙戦に臨むのが得策との判断がある。日本維新の会など「第三極」の選挙準備が進む前に解散に駆け込みたい思惑もある。自民、公明両党も年内選挙を求めて攻勢を強める構え。政治情勢は解散に向け、緊迫の度合いを増している。

 ◇TPPなど旗印に 自公に譲歩、連携うかがう

 「ウソをついているつもりもないし、ウソをつくつもりもない」

 首相は12日の衆院予算委員会で、田村憲久氏(自民)に「(解散しなければ)ウソつきとのそしりを免れなくなるが、それでいいのか」と追及されると、色をなして、こう反論した。

 首相が「近いうちに国民に信を問う」と発言したのは8月。それから3カ月以上たち、野党から「ウソつき」批判を浴びている。内閣支持率は10%台後半に落ち込み、「解散時期を引き延ばせば、さらに支持率が落ちかねない」(首相周辺)との危機感が強まり、首相は年内の総選挙に向けて調整に入った。

 さらに自公両党が求める年内解散に応じることで選挙後の両党との連携の目を残す狙いもある。次期衆院選で民主党が敗北すれば、自公両党を中心とする政権が誕生する公算が大きいが、参院は自公両党では過半数に達せず「ねじれ状態」は続く。このため民主党が自民党に次ぐ第2党の座を占められれば、影響力を確保できるとの計算があるとみられる。

 民主党は「今、選挙をやれば負けは必至」(同党議員)の厳しい環境にあるが、第2党を確保するために打って出る形を作りたい首相が腐心しているのが争点づくりだ。首相官邸幹部によると、首相は自民党との違いを鮮明にできる(1)TPP交渉への参加(2)衆院比例定数の40削減(3)2030年代の原発ゼロ方針−−を打ち出して選挙戦に臨みたい意向だという。

 ただ、民主党内には輿石東幹事長ら解散時期の先送りを求める意見が根強くある。

 輿石氏は12日の記者会見で、首相から11日の会談で年内解散を伝えられたとの報道を、「そんなことはない」と否定。さらに、衆院の「1票の格差」を是正するための0増5減と比例定数40削減は分離せず、一体の法案にする考えを強調した。

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