日本どこへ:安倍大勝/4 エネルギー・原発 再稼働関与が焦点

毎日新聞 2013年07月26日 東京朝刊

 ◇地元説得、壁高く

 「政府の中で具体的な動きがない。このままでは手詰まりだ」。与党圧勝となった参院選から2日後の23日、東京電力本店(東京都千代田区)。集まった取締役の間に失望と焦りが広がった。出席者の一人は「今の段階では(原発再稼働の)地元理解を得るため我々だけで努力するしかない。原子力規制委員会の安全審査を通過できれば、政権が関与を強めてくれる」と期待をつなぐ。

 エネルギー政策で政権の第一の課題となるのは、原発再稼働にどう取り組むかだ。なかでも東電が経営再建の切り札に位置づける柏崎刈羽原発は、地元新潟県の泉田裕彦知事の猛反発に遭い、規制委による審査の申請すらできない状態だ。自民党が参院選の公約で「安全性が確認された原発は再稼働させる」と掲げたことから、東電内には「政府はねじれ解消の勢いで、仲裁に動いてくれる」との見方があった。だが、ふたを開けてみると政府は静観のまま。東電の淡い期待は、ひとまず先送りになった。

 安倍政権はアベノミクスによる経済再建を最優先課題に掲げる。ただ、原発停止が続けば、火力発電の燃料コストがかさんで電力各社は電気料金の再値上げに動き、回復途上の景気を冷え込ませる懸念もある。東電柏崎刈羽に限らず再稼働を急ぎたいのが本音だ。

 しかし、福島第1原発事故を境に、原発の「安全神話」は「事故の不安」に一変。電力役員も「地元で原発を推進してくれた人々でさえ、もろ手で賛成してはくれない」と話す。参院選で圧勝した安倍政権にとっても原発再稼働が難題であることに変わりはなく、「原発政策や東電問題は後回し」(大手銀行幹部)との観測も出る。

 手をこまぬいてはいられない事情もある。政府は福島事故の賠償や除染、廃炉など10兆円超ともされる費用を、実質国有化した東電の将来の利益で賄う計画だからだ。収益シナリオが狂い東電が経営破綻する事態になれば、これらの費用を税金で補わなければならず、国民負担につながる。政府が膠着(こうちゃく)した状況の転機と見込むのは、規制委による厳しい安全審査の可否だ。経済産業省幹部は「審査をパスすれば、安全面の信頼につながり、地元経済へのメリットも実感される」と期待する。

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