「優生」は終わっていない――。障害者や性的少数者などへの差別は今も続いています。あらゆる生を肯定する社会への道筋を探ります。
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コロナで何が変わるのか
家族まかせで受け皿がない日本の障害者福祉 コロナ禍であぶり出された現実
2020/8/1 07:30 3950文字コロナ禍で介護サービスが制約された結果、障害のある子どもをケアする親たちは一段と厳しい立場に追い込まれている。重度重複障害のある娘の親で、海外の生命倫理にも詳しい児玉真美・日本ケアラー連盟代表理事(63)は、家族まかせで受け皿がない日本の障害者福祉の現状を、「棄民にされたよう」と指摘する。コロナ禍
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「絶望の先に力強い人生が待っている」 ALS患者の医師「2択ではない」
2020/7/30 15:00 3125文字難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者(51)に頼まれ、薬物を投与して殺害したとして嘱託殺人容疑で医師2人が京都府警に逮捕された事件。一部政治家などからは、安楽死や尊厳死の法整備論議を求める声や、容疑者を擁護する声までもがネット上に飛び交う。こうした世相に心を痛めるALS当事者で医師の竹田主
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コロナで何が変わるのか
「総障害者化」の未来は「連帯」か「蹴落とし」か 今が分岐点 小児科医・熊谷晋一郎さん
2020/7/29 11:00 3174文字新型コロナウイルス感染拡大に伴う社会のさまざまな変化によって、多くの人が不便を味わったために「総障害者化」した――。人々が社会生活を送る中で「生きづらさ」が生じる仕組みについて研究・発信している小児科医の熊谷晋一郎・東京大准教授(43)は、こう指摘する。脳性まひの障害を抱え、車椅子での生活を送る熊
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くらしナビ・ライフスタイル
減らぬ障害者施設での虐待
2020/7/11 02:01 1667文字障害者施設の職員による虐待事案が相次いでいる。4年前に入所者ら45人が殺傷された事件が起きた神奈川県立津久井やまゆり園でも今年、職員による虐待の疑いが指摘され、第三者による検証が行われている。植松聖死刑囚(30)の裁判の判決では、植松死刑囚が「重度障害者は不要な存在」と考えることにつながった背景と
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#やまゆり園事件は終わったか~福祉を問う
やまゆり園の虐待検証 神奈川県が一転して継続 6施設に対象拡大
2020/6/26 22:57 1275文字津久井やまゆり園の虐待の調査を神奈川県が中止すると宣言していた問題で、県は26日、方針を転換し、引き続き検証を続けると表明した。県議会厚生常任委員会で、県当局が説明した。検証の中止については障害者虐待防止法の専門家や全国の障害者団体から批判が噴出。検証継続を求める要望書が相次いで県や県議会に提出さ
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旧優生保護法を問う
強制不妊、医学会謝罪へ 問題を長年放置 あす検証報告書
2020/6/24 02:05 1759文字国内136の医学系学会が加盟する日本医学会連合(医学会)が、旧優生保護法(1948~96年)に基づく強制不妊手術への医学者や学会の関与について、責任を初めて認め、被害者に謝罪する方針を固めた。外部の有識者らによる検討会が検証した結果、医学・医療関係者が立法や運用に携わり、長年にわたって問題性を放置
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緊急事態を生きる
「人工呼吸器で助かる人を優先する」は「命を選ぶ差別」か 医師らの提言の波紋
2020/6/23 08:00 4075文字人工呼吸器など救命医療に不可欠な医療資源が不足した場合にどうするか――。医師、看護師、倫理学者、弁護士らでつくる「生命・医療倫理研究会」の有志が日本で人工呼吸器を配分しなければならなくなった場合の考え方について提言を出している。新型コロナウイルスの感染爆発で医療崩壊が起きたイタリアなどでは具体的な
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#やまゆり園事件は終わったか~福祉を問う
やまゆり園の虐待調査、コロナに乗じて闇に? 神奈川県の中止宣言に疑問の声
2020/6/18 16:10 2446文字新型コロナウイルス禍が続く中、障害者施設の虐待調査がうやむやにされようとしている。4年前に大量殺傷の舞台となり、昨年秋に新たに虐待の疑いが浮上した神奈川県立「津久井やまゆり園」(相模原市)。県が5月18日に突然、虐待に関する検証の中止を表明し、関係者に疑問の声が広がっている。植松聖死刑囚(30)の
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#やまゆり園事件は終わったか~福祉を問う
やまゆり園で「長期にわたる虐待の疑い」 神奈川県検証委が中間報告
2020/5/27 07:30 2081文字入所者19人が殺害される事件が起きた相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」について、入所者への支援の実態を調査する神奈川県の検証委員会の中間報告が18日、公表された。要件を満たさないままの身体拘束や、長時間の居室施錠などの実態を挙げ、長期にわたる「虐待」の疑いを指摘した。事件を起こした植松聖死刑
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118人集団感染し「病院化」した障害者施設 汗だくで支えた職員の苦悩
2020/4/18 21:08 3648文字新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生し、入所者が療養を続ける障害者支援施設「北総育成園」(千葉県東庄町)に設置された支援対策本部が、毎日新聞の取材に応じた。感染者発生を受けて官民が協力して施設を「病院化」した初めてのケースで、入所者の症状は回復傾向にあるという。現地では防護服などが不
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くらしナビ・社会保障
精神科病院と身体拘束/下 患者の権利擁護へ支援模索
2020/4/9 02:01 1604文字ベッドに手や足をくくりつける身体拘束は、患者の心身に大きな負担を与える。精神疾患を抱えた患者が自分の意思を伝えるのは難しい場合も多く、本人の立場に立った権利擁護のシステムが求められる。支援する団体も少しずつ増えている。 「何人もの職員に押さえつけられ怖かった」「いつまで続くか不安」「(拘束中)尿や
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くらしナビ・社会保障
精神科病院と身体拘束/上 患者と信頼築き削減目指す
2020/4/2 02:01 1507文字精神科病院でベッドに手足をくくりつけるといった身体拘束を受ける入院患者が増えている。2006年からの10年で1・8倍となり、中には突然死の事例もあることから、患者の権利を守る観点から厳しい目が向けられている。医療現場では、削減に向けた取り組みも始まっている。 身体拘束は患者の胴・手・足を特殊な拘束
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くらしナビ・ライフスタイル
遺伝子検査の重み学ぶ
2020/1/28 02:03 1503文字遺伝子検査やゲノムについて学び、命の大切さや多様性を考える授業が学校などで徐々に広がっている。遺伝子から生まれる赤ちゃんの病気や自身の体質を調べるビジネスの拡大が背景にある。どんな授業が行われているのか、現場を訪ねた。 ●出生前診断「体験」 「あなた、もしくはパートナーは妊娠10週目で、赤ちゃんは
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優生社会を問う
地域で暮らす/下 不寛容、障害児にも
2019/12/24 02:04 2243文字毎日新聞の調査で、過去5年間に少なくとも全国21都府県で計68件の住民による反対運動が起きていたことが明らかになった障害者施設では、大人だけでなく、子どもの施設にも厳しい視線が住民から向けられていた。一方、開設後に対立を乗り越え、施設側と住民の交流が広がったケースもあった。優生思想を背景とした障害
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優生社会を問う
地域で暮らす/上 障害者拒み、共生遠く 入居者「どこに住めば」
2019/12/23 02:00 3536文字障害者施設を巡り、過去5年間に少なくとも全国で68件の建設反対運動が起きていた。障害者差別解消法の施行から3年がたったが、依然としていわれのない差別に苦しむ障害者の実態が見えてきた。障害のあるなしに関係なく市民がともに暮らす社会の実現への課題を探るため、現場を歩いた。【上東麻子、千葉紀和】 「運営
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