ネット選挙 ツイッター分析―毎日新聞・立命館大共同研究

 参院選からネット選挙が解禁されるのに当たり、毎日新聞は立命館大の西田亮介・特別招聘准教授(社会学、ツイッターアカウント:@Ryosuke_Nishida)との共同研究プロジェクトをスタートさせました。政党・政治家や有権者のつぶやきを分析するとともに、従来型の世論調査も駆使し、「ネット選挙解禁で日本の政治は変わるのか」を探ります。



ツイッターユーザーが話題にした政党

 ツイッターユーザーのつぶやき数をもとに政党や政策関連語の関心度を測る定点観測を開始。初回は主に政党に関連したつぶやき数の日別変化をみる。

 毎日新聞と立命館大は参院選(4日公示・21日投開票)で解禁されるネット選挙の共同研究として、ツイッターの投稿(ツイート)データを収集・分析する「定点観測」を続け、紙上と総合情報サイト「毎日jp」に随時掲載する。初回はツイッター利用者のつぶやき数で測る政党・党首への関心度。公示が迫る中、自民、民主、共産3党が他党を引き離す傾向が続いている。

 共同研究では「NTTコム オンライン」社の分析ツール「バズファインダー」を使用し、投票1カ月前の6月21日から投稿データを収集している。

 まずは7月1日までのデータから政党名と党首名が含まれるツイート数を日単位で集計した。

 自民党は6月29日に民主党を抜いて以降、3日連続でトップ。1日に約1万〜3万件のツイートがある。その中から「好き」など肯定的な言葉を含むツイートと「嫌い」などの否定的なツイートを抜き出すと、自民党が圧勝した東京都議選の投開票日23日は肯定ツイートが約1500件あり、否定ツイートの約500件の3倍に達した。その後は、肯定・否定が拮抗(きっこう)している。

 民主党は都議選惨敗の翌24日と、通常国会の閉会した26日にツイート数が急増。安倍晋三首相問責決議など同党の国会対応にも批判が集まったことをうかがわせる。24日は否定ツイート約1800件に対し肯定ツイートが半分の約900件にとどまり、ほかの日も否定ツイートの方が一貫して多い。

 共産党は都議選で躍進した翌24日にいったんトップに立った。

 党首では、ほぼ毎日1万件以上のツイートがある安倍首相と日本維新の会の橋下徹共同代表が突出。橋下氏への関心が維新のツイート数に連動していない。【石戸諭】=随時掲載

毎日新聞 2013年07月3日 東京朝刊

ソーシャル分析グラフ

参院選期間中のツイッター分析

 ネット選挙が解禁された参院選で毎日新聞は立命館大と共同研究に取り組んだ。「自民党1強」の選挙戦にネット選挙が与えた影響は極めて限定的だったが、政治家と有権者の双方向対話が始まる兆しは確認できた。今後、各党・政治家が有権者との対話で日常的にネット活用を競い、政治と国民の距離が近づけばー。そんな期待を込めて共同研究の結果を報告する。

自民、民主、共産候補者のリツイートされた数と得票数の関係

 ネット活用選挙解禁は得票にどのような関係をもたらしたのか。ネット上で話題を集めた政党の「ネット効果」を探った。

投票を呼びかけるツイート数の推移

 投票を呼びかけるツイート数が参院選終盤に活発化する一方で、低投票率の懸念も強まっている。ネットでの呼びかけが投票に結びつくかが注目される。

ツイッター上での政党の影響度

 公示1週間で各党候補者のツイート数、リツイート数はどう変化しているのか。公示前の調査と同じ手法で計測してみた。共産党、自民党が順調に拡散する一方、民主党の「苦戦」が目立つ結果に。

候補者がツイートした主な単語とツイッターユーザーが政党名と一緒にツイートとした言葉

 参院選公示から1週間、候補者の発信とツイッターユーザーのツイートを比較した。期待された政策対話は起きず、候補者とユーザーのすれ違いが目立つ結果が浮かびあがる。

ツイッターユーザーが政党名と一緒にツイートした政策テーマ

 政党はツイッター上でどのように語られているか。ユーザーが政党と一緒にツイートした言葉から探る。

ツイッターユーザーの党首名つぶやき数(7月4日から9日集計)

 ツイッター定点観測。今回はツイッターユーザーによる各党党首名のつぶやき数を計測した。公示後、もっとも多くつぶやかれた党首は?

参院選公示日の「原発」ツイート拡散状況

 ツイッター上の関心が「原発」に集中する原因を探った。参院選公示日の4日は「原発」に関するツイートではリツイート(公式・非公式両方を含む)で3倍に増えたことが判明。特定の利用者間で拡散したことがうかがわれる。

政党別のツイッターフォロワー数と、FBの友達数+フォロワー数

 ツイッター定点観測。今回は、候補者のツイッターフォロワー数と、フェイスブック(FB)の友達数+フォロワー数を政党別に集計。両方とも自民がトップとなった。

ツイッターユーザーがつぶやいた政策キーワード

 ツイッター定点観測。ツイッターユーザーがつぶやいた政策キーワードを日別で集計した。予想通りトップは原発。他のキーワードとの差は?

ツイッターユーザーが話題にした政党

 ツイッターユーザーのつぶやき数をもとに政党や政策関連語の関心度を測る定点観測を開始。初回は主に政党に関連したつぶやき数の日別変化をみる。

世論調査とツイート 政策テーマで比較

 毎日新聞世論調査で聞いた重視する政策と、ほぼ同時期にツイートされた政策テーマを比較した。世論調査では6%だった原発がツイート数ではトップに。このズレが意味するものは…

ツイッター上での各党立候補予定者、政党幹部の影響力

 各政党候補者でツイッターを活用している議員、政党幹部をツイート数を「発信力」の指標、リツーイート数を「拡散力」の指標とし、グラフ化した。各党、ネット上での影響力は?

ツイッターユーザーが話題にした政策テーマと政党名の関係

 政党名とともに話題にされた政策テーマをグラフに落とし込んだ。「原発」や「震災・復興」というツイートが集中したテーマが政党との関連が弱いことが明らかに。

ツイッターユーザーが話題にした政党名

 投開票日1カ月前の6月21日〜26日にかけてつぶやきを分析したところ、民主がつぶやき数トップに。批判的なツイートか・・・

ツイッター分析関連ニュースアーカイブ一覧

<立命館大学 共同研究者>
 
西田亮介(にしだ・りょうすけ)
 
立命館大特別招聘准教授(情報社会論)。1983年生まれ。慶應義塾大大学院政策・メディア研究科修士課程修了。同後期博士課程単位取得退学。同助教、東洋大非常勤講師などを経て現職。著書に『ネット選挙—解禁がもたらす日本社会の変容』(東洋経済新報社)、共編著に『「統治」を創造する』(春秋社)。
 
 
<担当記者>
 
毎日新聞社の政治記者です。参院選で解禁される「ネット選挙」の記事を担当することになり、慌ててツイートを始めたところです。発信する内容は私的見解であり、会社を代表するものではありません。広島県出身。千葉県在住。広島カープと千葉ロッテを応援しています。
 
毎日新聞で記者をしています。仕事では主にリスクコミュニケーションに関心あり。なおここでの発言は会社と一切関係ありません。1984年生まれ。連絡はsatoruishido(at)gmail.com まで。 電子書籍にて「安心の風景—子どもと犯罪、ホントのところ」を発売中。
http://bit.ly/glH68H
http://twilog.org/satoruishido
 
<協力企業>
・インフォグラフィック作成 infogra.me
・NTTコム オンライン Twitter全量データを対象とする口コミリアルタイム分析ツール「BuzzFinder
・ツイッターでのつぶやいた政策関連語データ(ソーシャル政治新聞「ソーシャルタイムス」)

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