衆院選(14日投開票)に関連し、世論調査やインターネットを通じて有権者の政治に対する感情を探ったところ、いら立ちなどの否定的な感情が強いことが分かった。「イライラする」「かなしい」と答えたうちの過半数は安倍内閣を支持していないが、約3割は支持と回答。政治に何も感じない「無感情」層では不支持より支持の方が多く、有権者側に募ったいら立ちやあきらめの感情を野党が受け止められていない実態が「自民党1強多弱」の背景に浮かんだ。
毎日新聞と立命館大(西田亮介特別招聘(しょうへい)准教授)は昨年、インターネットを利用する選挙運動(ネット選挙)が解禁されたのを受け、ネットという対話ツールが有権者と政治の関係に与える影響を共同で研究してきた。今回は、選挙への関心が高まらない有権者側の政治感情に着目した。
毎日新聞が11月29、30日に実施した電話による全国世論調査で「今の政治についてどう感じているか」を聞いたところ、「イライラする」と「かなしい」の合計が5割を超え、4人に1人は「なんとも感じない」と答えた。「頼もしい」「ほっとする」と肯定的な回答をしたほとんどが安倍内閣を支持しているが、内閣支持層の6割はいら立ち・悲観・無感情層が占めた。
調査では衆院選で最も重視する争点も質問。景気対策を重視する人ほど政治に肯定的で、いら立ち・悲観・無感情層には社会保障や子育てなど将来への不安が強い傾向が鮮明になった。【石戸諭、大隈慎吾】
毎日新聞 2014年12月9日 東京朝刊